社労士(社会保険労務士)択一式の過去問演習


>>平成25年 過去問

平成25年 - 31問 一般常識(労働契約法)

労働契約法等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

A.労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとされている。
B.使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うとするのが、最高裁判所の判例である。
C.いわゆる採用内定の制度の実態は多様であるため、採用内定の法的性質について一義的に論断することは困難というべきであり、採用内定の法的性質を判断するに当たっては、当該企業の当該年度における採用内定の事実関係に即してこれを検討する必要があるとするのが、最高裁判所の判例である。
D.使用者が社内の多数労働組合の同意を得て就業規則を変更し、55歳以降の賃金を54歳時よりも引き下げつつ、定年年齢を引き上げた事案について、本件就業規則の変更は、多数労働組合との交渉、合意を経て労働協約を締結した上で行われたものであるから、変更後の就業規則の内容は、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性等にかかわらず、労使間の利益調整がされた結果として合理的なものとみなすことができるとするのが最高裁判所の判例である。
E.労働契約法第20条に定める、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止における「不合理性」は、有期契約労働者と無期契約労働者との間の労働条件の相違について、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下、本肢において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、個々の労働条件ごとに判断されるものであり、とりわけ、通勤手当、食堂の利用、安全管理などについて労働条件を相違させることは、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して特段の理由がない限り合理的とは認められないと解される。
解答をチェック!
A. 正しい。労働契約法3条3項。

B. 正しい。最高裁平12.3.24/電通事件。

C. 正しい。最高裁昭54.7.20/大日本印刷事件。

D. 誤り。最高裁平9.2.28/第四銀行事件。判例は、就業規則の変更についての合理性の有無は、就業規則の変更によって労働者が被る不利益の程度、使用者側の必要性の内容・程度、変更後の就業規則の内容自体の相当性、代償措置その他関連する他の労働条件の改善及び労働組合等との交渉の経緯等を総合考慮して判断すべきである、とした。

E. 正しい。労働契約法20条。

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