社労士(社会保険労務士)択一式の過去問演習


>>平成25年 過去問

平成25年 - 7問 労基法(賃金)

労働基準法第24条に定める賃金の支払等に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。

ア.いわゆる通貨払の原則の趣旨は、貨幣経済の支配する社会では最も有利な交換手段である通貨による賃金支払を義務づけ、これによって、価格が不明瞭で換価にも不便であり弊害を招くおそれが多い実物給与を禁じることにある。

イ.行政官庁が国税徴収法の規定に基づいて行った差押処分に従って、使用者が労働者の賃金を控除のうえ当該行政官庁に納付することは、いわゆる直接払の原則に抵触しない。

ウ.いわゆる通貨払の原則は強行的な規制であるため、労働協約に別段の定めがある場合にも、賃金を通貨以外のもので支払うことは許されない。

エ.いわゆる全額払の原則の趣旨は、使用者が一方的に賃金を控除することを禁止し、もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活を脅かすことのないようにしてその保護を図ろうとするものというべきであるとするのが、最高裁判所の判例である。

オ.退職金は労働者にとって重要な労働条件であり、いわゆる全額払の原則は強行的な規制であるため、労働者が退職に際し退職金債権を放棄する意思表示をしたとしても、同原則の趣旨により、当該意思表示の効力は否定されるとするのが、最高裁判所の判例である。

A.(アとウ)
B.(アとエ)
C.(イとエ)
D.(イとオ)
E.(ウとオ)
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正解はEである。

ア. 正しい。労基法24条1項。

イ. 正しい。労基法24条1項。

ウ. 誤り。労基法24条1項ただし書。労働協約に別段の定めをした場合には、通貨以外のもので賃金を支払うことができる。

エ. 正しい。最高裁平2.11.26/日新製鋼事件

オ. 誤り。最高裁昭48.1.19/シンガー・ソーイング・メシーン事件。判例は、労働者が退職に際し自ら賃金に該当する退職金債権を放棄する旨の意思表示をした場合には、全額払の原則が労働者の意思表示の効力を否定する趣旨とまでは言えない、とした。

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